ドバイ5日目、11月25日日曜日です。この日、アラブ首長国連邦の首都であるアブダビでは「アブダビ・グランプリ」というカーレースが行われていたそうですが、昨日の夜9時に寝て今朝の8時に起きたお疲れの私たちには無縁のイベントです。
空には今はまだ雲ひとつありませんね。
ところで、窓から見えるこの景色は、地図で見るといったいどこらへんに当たるのでしょう?そういうのは着いた当日に見極めて当然、と思うのですけれど、土地勘というのはなかなか育みにくいもので、私はようやく5日目の朝になって「あ、この道がこれだ!向こうに見えるあの水路がこれだ!」と分かったのでした。
これは私が地図の見方が下手だからというのが一番の原因ではあるのですが、もう一つの理由としては地図そのものが古く、変化の激しいドバイの道路事情に追いついていない、というのもあります。これは最新版の「るるぶ」の地図なのですが、有名な5つ星ホテルチェーンである私たちのホテルは載ってないし、そもそもホテル前の道すら載ってなかったのです。。。
それでは今日もいつものモールにコーヒーと朝食に出掛けましょう。今日は午後から活動的な予定を立ててるので、Tシャツとスカートという動きやすいラフな格好です。着るものはほんのちょっとしか持ってきてないので、繰り返して着てるのです。
さて、まずはスターバックスに行って、既に顔なじみになったスタッフに「いつもの」をお願いします。コーヒーにクリームを添えてくれなどと無茶なことを言う外国人の二人連れということで、すぐに覚えてもらえたのです。このスターバックスでは、最初に応対してくれたインド人のイルファン君の他にも、スリランカやネパール、ウガンダなど、各国から来たスタッフが働いています。
全員出稼ぎなのでしょうけれど、正直言って、スタバなんかで働いて仕送りできるのかと心配になります。ドバイのスターバックスではチップさえ受け取ることができず、彼らはほんとにパートの安い時給だけなのです。(スタバのチップなどほんとにはした金ではありますが。。。)
悪いことは言わない、レストランか工事現場に転職しなさい、とお節介なことを言いたくなる気持ちをぐっと抑え、ホテルのネスプレッソマシーンのよりはずっとおいしいコーヒーを有難く頂戴しました。
そういえば、スタバはモール内にあり、私たちはモールの外にあるテラス席に座ったので、コーヒーとクリームを持ってテラス席に通じるドアを開けようとしていたら、セキュリティーの人がさっとやってきてドアを開けてくれました。ドバイは警察関係者がたくさんいる警察国家で、それに加えてこうしてあちこちにセキュリティーの人がいて目を光らせているので、とても安全です。しかも安全で暇なので、こうして誰かちょっと困ってたらすぐに助けてくれて、旅行者にとってはとても滞在しやすいところなのです。
なお、セキュリティーの人は特に武器は持ってない様子で、制服の警察官は拳銃と警棒を持ってるけど、地域によっては見かけるような、ライフルを持って明らかに武装した感じの人は見かけませんでした。そういえば、ドバイは警察は多いけど、軍隊はどうなのでしょう?アラブ首長国連邦軍はサウジアラビアに協力してイエメンへの攻撃を続けていますが、それほど遠くもないところで空爆や飢餓が現実に起こっている中、その根元のところではこうして平和で豊かな朝が始まるのです。
それからこちらのイタリアンカフェに行って朝ごはんを食べました。
イタリアンなのに、なぜかアラブ風の朝食を出しているのです。メニューの他のアイテムはすべてイタリアンで、なぜ突然アラブ風、それも朝食だけ、という謎が解けることはありませんでした。
ここではテーブルの上にフォークとナイフが置いてあるけど、このナイフ、ちょっと変わっているのです。横から見るとこうなってて、、、
上から見るとこうなっています。つまり、これを持つと、、、
こうなる。とっても安定が良くて、目からウロコ、この発想はなかった!このナイフを発明した人は天才だ!と思います。こういうのって、どこでも売ってるのかな?私は初めて見たのですけれど、手先の器用な人なら、ぜひこういうのをご自分で作って試してみてください。
さて、アラブ風の朝食セットがやってきました!お値段は1,000円ちょっとというところです。ここではシャイな感じのインド人のサーバーのお兄さんがひっそりと料理を出してくれて、特に「これがこれで、あれがあれで」という説明は何もありません。卵はホテルのときと同じように落とし卵にしてくれるように頼んだら、ちゃんとミディアムにしてくれて、卵も上等でしっかりおいしいのを使ってありました。
卵のすぐ上の、焼き色をつけてあるものはチーズカードで、キュッキュッという独特の感触が面白いです。上の小皿3つはフムス、水きりヨーグルト、そして金時豆の煮物で、どれもとても優しい味付けだし、さっき作ったばっかりという感じの新鮮な味で、健康的でおいしいです。
フムスは軽めで、とても滑らかです。酸味があるのが新鮮な感じで、朝にはぴったりだと思います。煮豆は温かく、トマト、玉ねぎ、スパイス、パセリが入っていました。水きりヨーグルトもとてもおいしかったので、これは蜂蜜が欲しい、と思って頼んだら、栗の蜂蜜のようなダークなのを持ってきてくれました。
毎朝こういう朝ごはんを食べていたら髪もお肌もきっとツヤツヤと美しくなるわね、と思います。アラブの女性は、こうした新鮮でバランスの良い伝統食に加えて、黒い民族衣装で肌を守るので、ベールの下の素肌は世界一美しいそうなのです。
せっかくドバイに来たから毎食ドバイらしいものを食べよう、と決めていたのですが、某氏はイタリアンカフェのおいしそうなメニューに抗えず、ハムエッグを頼んでいました。これまた素材がとてもよかったようで、一口一口がとてもおいしかったそうです。
そういえば、テーブルの上にはソルト&ペッパーのシェイカーがあったので、胡椒を振ろうと思って振りかけたら、なんと塩が入っています。あれ、逆かな、と思ってもう片方を振ると、なんとそっちにも塩が入っています。なんだこりゃ、と思って「あの~、どっちも塩なのですが。。。胡椒はありませんか?」と聞くと、「はい、どっちも塩が入ってますよ(当たり前でしょう?)」という返事と共にペッパーミル(胡椒挽き)を持ってきてくれました。
コーヒーにはクリームがなく、駅前の広い道には信号も横断歩道もなく、イタリアンカフェにはアラブ風の朝食があるという謎めいた国、ドバイ。さらにソルト&ペッパーには当然どっちも塩が入っているという謎が加わり、ああ、私はほんとに頭痛が痛い。。。
本当にとってもおいしかった、と心から満足して、それからモールの端っこにあるスーパーに寄ってみました。フルーツ売り場には私の主食であるポメロがあります。ほんとは私は中東ならではのこういう柑橘系の、イスラエルのスウィーティーみたいなのが欲しかったのですが、あいにく売ってませんでした。
なんと、剥いたポメロを売ってます。たしかに、あれを剥くのはめんどくさい、あるいは指が痛い、などの理由でこれを有難がる人もいることでしょう。
南国です、という感じの果物もあります。なんというか、デコボコしてて、果物の見た目に関しては南国のフルーツって妙なものが多い気がします。
これは調理用バナナかな。前にこういうのを丸焼きにして、とてもおいしかった覚えがあります。
肉を売ってるところでは、七面鳥や牛肉のハムやサラミがあります。豚肉はないのです。
垂幕には、「当店の肉類はすべてイスラム教の規定にのっとっています」と書いてあります。この規定というのは「ハラル」と呼ばれるもので、屠殺の段階から食肉にするための処理の仕方まで、細かく決まっているのです。
ロシアやウクライナなど東欧の食材も多いです。スメタナだ、スメタナだ!本物だ、嬉しいな、と思っただけで買ってませんが、これはサワークリームのようなものです。
この前飲んでみてもう十分と思ったラクダミルク、他にもデーツ味やサフラン味があります。
カルダモンミルク、デーツミルクなど、珍しい味もありますね。
ラバンというのは飲むヨーグルトです。
小さいスーパーだけど、デーツ売り場もちゃんとあります。
それからこちらは砂漠の国ドバイから輸出しているという地下水。山岳地帯の地下水で、とてもすっきりした味です。
アラビア語の雑誌。ベールの下の美女たちの素顔、素敵でしょうね。この子はちょっとエイリアンっぽく見えるけど。。。
さて、先ほど「豚肉はない」と書きましたが、実は全く無いわけではないのです。これだけ外国人の多いドバイのことなので、イスラム教徒でない人たちの食生活にも対応しないわけにはいきません。でも、堂々と表立って対応するわけにはいかない、というわけで、こうしてスーパーの奥のほうの目立たないところにひっそりと豚肉部屋が作られているのです。看板も「非イスラム教徒用」と書いてあり、イスラム教徒はここに入っていく人たちをどんな思いで見ているのでしょうね。
加工肉類。
他の豚肉類。
加工食品もたくさんあります。
なんと、お菓子類もあって、ということは店内の他のところにあるものはどれもほんとに安心して買えるハラル食品なのですね。宗教的な食の禁忌についてはいろんな見解があると思いますが、それぞれの信念があっても日常生活の中での実行は難しいもので、こうして国全体で「イスラム国家です」などと方針が決まってると楽でいいなと思います。
シリア難民に代表されるように、近年はイスラム教徒が大挙して非イスラム国家に流れ込んでいますね。そういう人たちが、例えばビールとソーセージしかない(ような気がする)ドイツでどうやって暮らしてるのか、ドイツ人たちはどう感じているのか、一度とくと両者から話を聞いてみたいものです。
これはスーパーで買ってきたもの。上のはデーツコーナーで買った「ソカリ・デーツ」という種類のデーツで、9月に収穫したばかりだそうです。本場で買った新鮮なデーツだからきっと柔らかくておいしいはず、と思っていたら、なんとびっくり、これがガチガチに固いのです。どうしたんだ!?と思ったら、これはこの硬いところが尊ばれるのだそうで、ガチガチとは言えないところはしっかりした歯ごたえがあり、「これでいいんだ」と聞いてみるととってもおいしいような気がしました。
他のは左からデーツシロップ、サウジアラビアの蜂蜜、そして魚フレーバーのスープの素。これだけですが、ほんとはもっともっとスーパーを丸ごと買って帰りたいくらいでした。珍しいものがたくさんあって、見てて楽しいのです。
それではそろそろ帰りましょう。これはモールの中にある足裏マッサージのお店で、こちらは女性用入り口で、、、
こちらは男性用入り口です。バンクーバーのように男でも女でもないような人が山ほどいるところから来ると、どうしても「中間の人たちはどこから入ればいいのだろう?」と考えてしまいます。
それにしても、うーむ、どうもなんだか雲行きが怪しくなってきましたねえ。。。
部屋に戻るとすっかり綺麗にお掃除がしてあって、ベッドの上に飾り用の寝具まで置かれていました。バイキングはまずいけど、さすがは高級ホテル、お掃除その他のサービスは本当に完璧なのです。