ロンドンに行きました 1日目 1

お待たせしました。はるばるロンドンまでも行ってまいりましたので、ここぞとばかりにたくさん写真を撮ってきました。これからご一緒に10日ほどの旅を振り返っていきましょう。

旅行の前にあらかじめロンドンで使える交通公共機関のパスを50ポンド分注文して送ってもらいました。なぜオイスター(牡蠣)なのかは分かりませんが、これ一つでバスでも地下鉄でも普通の鉄道でも乗れるのです。イギリスの都会は交通公共機関が発達しているので、複雑怪奇な路線地図を解読することができればとても便利です。

地図を見ただけで目が回るというのであればタクシーもやたらといっぱい走っていますが、やっぱり高いと思います。なお、イギリスではタクシーの運転手になるには厳しい試験に合格しなければなりません。昔からの古くてややこしい道を隅々まで知り尽くしていなくてはならないのです。
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旅行の前にはタニーちゃんの世話も万全でなければならないので、V君から分けてもらった水草が枯れないように照明用のタイマーも貰ってきました。いや、貸してくれただけなのかな?返せと言われるまでは私の物にしておくことにしましょう。彼はもう一つ上等のを持っているのです。
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ついでにV君についてきてもらって電話会社に行って、旅行中の携帯電話の使い方について説明を聞いてきました。私はこういうことがほんとに苦手なので、ぺらぺらと説明してもらっても一人ではさっぱり分からないのです。でもV君が辛抱強く教えてくれたおかげで、とりあえずは大丈夫。某氏は今時珍しく携帯電話を持っていないので、ぜんぜん助けてくれないのです。さあ、それでは出掛けましょう!
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ロンドン旅行中はパリのノートを持ち歩いてメモを取りました。特に意味があるわけではなく、単にこれが一番手頃な大きさだったからですが、やっぱりここはロンドンのノートを用意すべきだったかもしれません。。。
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航空会社はイギリス航空です。なんと、葉子さんにはワールドトラベラーという大層な肩書きがあったのですね。でも、じつはこれはどうやらエコノミークラスの乗客を指すものらしく、座席に座ってみれば「ワールドトラベラー」という輝かしい響きとは裏腹に、やっぱり狭くてエコノミーな待遇でした。
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カナダ、しばらくさようなら。免税店のところで買う気もないのに商品を見ていると、「こら、万引きはいかんぞ!」という声が聞こえました。「しまった!ばれたか!」と思って声のしたほうを見ると、なんとお店の常連のお客様が立っていました。彼は空港の税関や国境警備の偉い人で、にこりともせずにいつも同じ冗談を言う人です。お店で会うときは普通の格好ですが、この日はいかめしい制服を着ていて腰には手錠もぶら下げていて、しかも顔もやや怖いので余計怖く見えました。ほんとに悪いことをしていてこの人に捕まったら嫌だな、と思います。

でも、顔は怖いけど優しいおじさんです。ロンドンに行くと言ったら「じゃあ空港で会おう」と言ってくれてたのですが、広い空港でたまたまほんとに会えるとは思いませんでした。スタバでの通称「スーザン」さん、本名Dさん、お会いできて幸先の良い旅になりました。
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飛行機はこれです。某氏は飛行機が好きなので、これは旧型で何番でどうのこうのと言ってましたが、私としてはちゃんと落ちずに飛んでくれるのであれば型など極めてどうでもよろしいことです。
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機内食の軽食が出てきました。さっそく大いにイギリスをアピールしていますね。エンジョイ、と書いてありますが、、、
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どうも飛行機の中ではあまり物を食べる気になりません。この後出てきたディナーでは、愛想の悪いスチュワーデス(今はアテンダントと言うのでしょうか)が「パスタと何とかチキンのどちらにしますか?」と聞いてきましたが、某氏も私もその「なんとかチキン」の「なんとか」が聞き取れません。「何チキンって?」と2回くらい聞き返しましたが、やや東欧訛りのあるイギリス英語はとにかく分かりにくく、「なんとかチキンです!パスタとどちらがいいのですか!選びなさい!」と叱られて「じゃあ、パスタ」と、二人ともよく分からないままにパスタを受け取りました。

味のほうは、うん、イギリスに来たな、このまずさが懐かしいな、という味でしたが、バンクーバー発の飛行機なのでカナダのものだったのだと思います。
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座席前のポケットにはイヤホンがあり、ついでに寄付金を求める封筒も置いてあり、封筒の裏の説明書きには「5ポンドあれば難民の子供に過去のトラウマに対処するためのメンタルヘルス・プログラムを受けさせられる」と書いてありました。イギリスはシリアその他からの難民にドイツと並んで非常に人気の高い国で、かなりの人数を受け入れているのです。今回行ったロンドンや南部を見る限りではイギリスは底なしに豊かな国に見えますが、華やかさの影で深刻な貧困もあり、難民に対する手厚い待遇には当然の反発もあります。

機内ではずっとオーディオブックを聞いていました。私は本はほとんど全く読みませんが、オーディオブックは好きなのです。好きと言ってもこうして飛行機の中で聞くだけですが、今回はスティーブ・ジョブズのプレゼンテーション技法に関する本が面白かったので2回も繰り返して聞いてしまいました。スティーブ・ジョブズと言えばマッキントッシュ、私が頭から苦手と決め込んでいるプログラムですが、本を聞いていたらなんだかとても使いやすそうで、ふーむ、今度ちょっとアップルストアとやらに行ってみるか、と思ってしまったほどです。スティーブ・ジョブズさんという方は、誰かに何かを分かりやすく伝えるということをとても真剣に捉えて工夫と努力を惜しまなかったのですね。
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そうこうするうちに飛行機が着陸しました。下降がやたらと長くてがたがたしていたので、どうも気分が悪いです。う~、と思いながらよろよろと機外に出て窓の外を見ると、うーむ、バンクーバーではありませんか。ほんとにイギリスなのか、ここだけでは疑わしいです。
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しかし、ちょっと進むとやっぱりちょっとバンクーバーじゃなさそうな感じになってきました。通関のところで、イギリスとEUのパスポート保持者とそれ以外、というふうに分けられるのです。でも、この看板ももう少しでお役御免ですね。今後も滞在中はあちこちで離脱に関する不安を耳にすることになりました。
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空港を出てからは電車に乗り換えます。これは途中の駅の看板ですが、こうして赤い丸に青い横棒が入るのが公共交通機関のマークです。電車はこれからロンドンの中心部に来ると地下鉄に変わります。

気温は7度。途中で強い雨も降ったし、風も強くて、しかししばらくすると青空になり、これぞイギリスという感じです。
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途中の家々。こういう感じの赤茶けたレンガの家はあちこちにあり、色は黄土色っぽいのから黒っぽいのまで様々、年代も様々です。イギリスは地震がほとんど全くないところだと聞いたことがあり、こういう家が続く様子を見ていると「なるほどそうだろうな」と思います。

そういえば、途中の駅で乗り込んできたいかつい黒人のおにいさんは、座るなり可愛い色合いのキャンディーの袋を取り出して新聞を読みながら食べ始め、全部食べたら空の袋と新聞を置いたまま下りていきました。ゴミをほったらかすイギリス人、そして大の男でもキャンディーが大好きなイギリス人。。。
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地下鉄の駅のエスカレーターには「右に立ちなさい」と書いてあります。イギリスでは、車は左側、歩行者は右側、エスカレーターで立つのは右側、階段その他の通路で歩くときは左側、というふうに決まっているようです。でも、今をさかのぼること30年前(正確には27年前)、私がこの町にしばらく潜んでいた頃には混乱がありました。つまり、駅によって、ひどいときには一つの駅の中でもあっちのエスカレーターとこっちのエスカレーターによって、右に立つのか左に立つのかが不統一だったのです。エスカレーターの入り口のところに「右に立て」とか「左に立て」とか書いてあって、誰だったか自慢気に「俺はどこのエスカレーターがどっち側か、全部知ってるんだ」と言っていたのをなぜかしっかり覚えています。

地下鉄は私の覚えているものとはずいぶん違っていて、近代化が進んでいました。まず、前より明るくなっていて、臭い匂いがありません。匂いは人間の匂いで、前は駅の構内に浮浪者がいることもあって、それもちょっとやそっとの汚れ方ではない人たちがいたので、動物としての人間の本来の匂いはこんなのなのだな、という感じの匂いでした。たぶん、改札のところが近代化したので、それで浮浪者が入れなくなったのでしょう。

また、ところどころで木のエスカレーターがあったのが見つけられませんでした。ロンドンの地下鉄では昔、木のエスカレーターが燃えて大惨事になったことがあるそうで、それで当時でも既に金属のものへの移行が進んでいたのですが、まだところどころに残っていたのです。あとで調べたら、最後の木のエスカレーターは3年ほど前に撤去されたそうです。

それからもう一つ、駅のホームでは以前は「マーンダギャッ」という不気味な念仏が10秒おきくらいに聞こえていました。男性の声の録音で、音質が悪い上に駅のホームで不気味にこだまして、いったい何なのかずーっと分からなかったのですが、これは実は「マインド・ザ・ギャップ」、つまり「列車とホームの間に隙間があるから気をつけろ」と言っていたのです。

この不気味な声も近代化して分かりやすくなっていて、しかももっと親切な案内になっていたのですが、あの愛想のなさがいかにもイギリス風だったことを思うとやや淋しい気持ちがしました。
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天井が低くて薄暗い地下鉄の駅。改札は近代的ですが、閉じた扉を無理にこじ開けて入る人もいるのでところどころ壊れています。
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さて、ロンドンの中央駅の一つ、ビクトリア駅に着きました。ロンドンにはロンドン駅というのはなく、主要な駅が点在しているのです。そしてどの駅もむやみやたらと重厚で、建物だけ見ればお城そのものです。郊外に行っても古いものは小さくてもそれなりに装飾されていますが、新しくて小さい駅はプレハブに毛が生えた程度のものもあります。
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ホテルは駅からそう遠くないところにありますが、駅が巨大で出口がいくつもあり、ロンドンの道はとにかく入り組んでいるので、ちらっと地図を見ても絶望的です。しばらく頭を抱えて、ふと見るととても小さい何かの窓口があったので聞いてみると、そういうことに慣れているらしい黒人のおじさんがとても可愛い感じの笑顔で親切に教えてくれました。

そしてたどり着いたのがこちら、ずらーっと並んでつながった白塗りのレンガ住宅です。このあたりはピムリコという地域で、この近辺にはこういうやや威圧的な白塗りの住宅地が延々と広がってどこがどこやら分からない迷路を形成しています。そして30年前、私はこういう住宅の片隅に住んでいたのです。でも、それはまた後の話。。。
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私も住んでたけどチャーチル首相も住んでたのですね。チャーチルの場合は「ここに住んでおられました」という目印が出てるので迷いませんが、私の場合はどこにも目印がないので、あとでかなり迷って探すことになります。
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目指すホテルに行くには、この道路を渡らなくてはなりません。しかし、これが命がけなのです。イギリスの信号は自動車の都合を最優先に設置してあり、この交差点にも歩行者用の信号はありません。しかも自動車の停止線は交差点からかなり下がった位置にあり、信号はそこから見えやすい位置に設置してあります。

つまり、この横断歩道を渡ろうとする歩行者は、10メートルほど右に止まっている車が見ている信号の色を推理して、「まだ赤らしいぞ、今だ!」と決断して渡り始めなくてはなりませんが、その推理が間違っていたら、途中まで行った時点で信号が青になって発車した車にはねられそうになるわけです。勘と度胸がなくては生きられないロンドンの人々の交通に対する態度についても、これから骨身に染みて理解することになります。
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着きました~!ジョージアンハウス・ホテルです。なお、お隣はアルメニアの大使館です。
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ここは値段も手頃で割と評判の良いホテルで、私たちの滞在もおおむね快適でした。ただ一つ、階段が多いという点を除けば、、、

私たちの部屋は「3階です」と言われましたが、イギリスの場合は1階を「ゼロ階」と見なすので、実際には4階にあたります。しかも階段は踊り場があって2つで1階分なので、4階までは6つの階段を息を切らして上ることになります。フロントは1階で、朝食ルームは地下1階なので、食事のたび、そして何かの用事でフロントに行くたび、そしてホテルを出入りするたびに結構な運動になりました。

ホテルで働く人にとってもこの階段はやっかいで、あるときバスルームに問題があってフロントの人に来てもらったら、上りながら「この階段にだけはどうしても慣れない、一番上の階に呼ばれるたびに心臓麻痺になりそうになる」と愚痴をこぼしておいででした。エレベーターはありません。
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1815年に建てられたこの建物は、もともとは個人住宅でした。このあたりのこうした細長い住宅はどれもそうなのです。もちろん裕福なご家庭の住宅ばかりで、地下室と屋根裏は住み込みの召使のための部屋でした。私はそういう屋根裏部屋に住んでいたのです。

今ではこういう家を個人住宅として使っているケースはほとんどないようで、こうしてホテルにしたり、英語学校その他のビジネスの場にしたり、あるいは階ごと、または部屋ごとに区切ってアパートにしたりしている場合が多いようです。なお、イギリスではアパートのことを「フラット」と呼びます。

私たちの部屋はこんな感じです。もともとは誰が住んでいたのでしょうね。
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使われていませんが、本物の暖炉もあります。
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コードがあって繋がっているのに、なぜか使えない電話。受話器をとっても何の音もしません。飾りなのでしょうね。ダイヤル式に見えますが、実際はプッシュホンです。
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フロントに通じる電話はありませんが、イギリス国内ならどこでも無料でかけられてインターネットも使える携帯電話が置いてありました。
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クローゼット。スリッパもあります。ここで「ああ、ポットがあって、電子レンジもあるのね。でも冷蔵庫はないのね」と思った私たち。。。あとになって愕然とすることになります。
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コーヒー、紅茶、ハーブティー、クッキーなど。このクッキーがとってもおいしかったのです。スコットランドの「BORDER」(ボーダー)というブランドのものです。幾つかのスーパーを見ても見つからなかったのですが、売ってるところでは売ってるらしいので、みなさんも見かけたらお試しください。さくさくしてバターの風味が豊かで、有名なウォーカーズのショートブレッドより少し軽い感じです。私にはウォーカーズのよりこっちのほうが好みです。

紅茶のほうもイギリス風で、やたらと色濃く出ます。これはどこに行っても同じ感じで、イギリス人の一般的なお茶の好みを反映しているのでしょう。カナダで出回っているお茶と比べるなら、濃いことで知られるアイリッシュブレックファストがイギリスの普通のイングリッシュブレックファストに当たる感じです。
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バスルーム。クローゼットを改装して取り付けたらしくて狭いし、バスタブはなくてシャワーだけですが、清潔でいい感じです。ただ、何といっても古い建物なので配管も古くて、一日だけひどく臭いことがありました。フロントの人の説明によれば、近所の家で何か工事をするとその影響でなぜか臭くなることがある、とのことです。こういう古い建物を維持していくのは本当に大変なことで、お金も山ほどかかるので、いかに古い物好きのイギリス人といえど、さっさと壊して新しいものにしたいという場合もあるでしょう。

実際、戦後に手早く建てられた建物は、デザインに手間ひまやお金をかけられない当時の事情もあって、明らかに手抜きで無愛想なものが多いです。空襲が集中した地域はことさらですが、部分的な影響を受けたこのあたりでも、お洒落な高層長屋の一部だけ明らかに手抜き、というところもあります。

チャールズ皇太子は景観や歴史文化を生かした都市計画に個人的に強い関心をお持ちなので、こうした戦後の味気ない住宅についても批判的です。そう言われても予算が、という事情もあると思うのですが、今回見たところロンドンはあっちでもこっちでも工事をしていて、建設労働者なら今のロンドンでは絶対に食いっぱぐれることはない、という印象です。労働者はポーランドをはじめとする東欧諸国からの人たちが多いそうですが、インド人風の人たちも多く見かけました。
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by ammolitering6 | 2017-05-08 10:46 | 2017年 ロンドン | Comments(0)

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