いつものキング先生は都市計画への市民参加を促進する建築家であり、教育者でもあります。もともとはイギリスの出身で、戦後カナダに移住してからはモントリオールなど東部で近代的なビルを作っていて、モントリオールオリンピックの際には若手建築家としてパビリオンの設計チームにも入って活動なさいました。
当時の開発は政府の役人や建築家を含む偉い人たちがほぼ一方的に決めて実行していて、強制立ち退き、取り壊し、というパターンで行われることが少なくなかったので、住民からの激しい反対運動が起こることも珍しくありませんでした。古いものをどんどん壊して新しくしていく気運があった戦後のこと、行く先々で古くて美しい建物が消えていって住民たちの怒りと涙を目の当たりにしたキング先生は、自分が破壊と悲しみの使者であるような気持ちになっていました。
当時は若くてキャリアの野望も将来性もあった先生は、あるとき自分の家のすぐ近くの開発に携わりました。そこは空き地になっていて、法的にも周辺住人とも特に問題なくブルドーザーが入っていったのですが、あいにくそこは自分の息子とその友人たちにとっては何よりも大切な秘密基地だったのでした。息子はキング先生に向かって涙と共に激しい抗議をし、それが先生にとって人生を変える大きな転換点になりました。
先生はその後、地元の大学で教育を学び、子供を含めた市民参加型の都市開発についての技法を模索なさいました。高層ビルを建てていたときのような羽振りの良さはすっかり無くなってしまいましたが、キング先生の貢献は今でもカナダを始めとする英語圏の各地でコンセプト作りの裏方として地味に息づいていて、特に地元のバンクーバーではグランビルアイランドやフォールスクリーク、ロブソン広場など、それなくてはバンクーバーではないほどの位置づけとなっています。
92歳になられるキング先生には、先生の技法を理科教育(主に環境教育)に取り入れた教師の方を筆頭に、大勢のお弟子さんが育っています。建築関係やデザイン関係の人が多い中で無関係な私も何となくくっついていて、こちらの先生の著書を和訳したりしているのです。誰か読んでる人はいるのだろうか、とは思いつつもこちらで紹介していますので、よろしかったらご覧くださいませ。
この本は絶版になっていて、アマゾンで何万円もしていたのですが、最近見たらだいぶ安いのがあったので買いました。(それでも7千円くらい。)高いな~、とは思うものの、内容を考えれば都市計画に興味のある方ならほんとは3万円でも出す価値はあるのです。
古本で申し訳ないのですが、せっかく買ったので先生にサインしてもらいました。
これは先生の次の御本の初期原稿です。一番弟子の理科の先生と一緒に、自然の中での知覚教育を教えるための本なのです。見過ごされがちなことなのですが、市民の意見を丁寧に聞いて作られる先生のデザインコンセプトには、生きた人間がその環境の中で暮らすときの感覚がきめ細かく織り込まれています。この新しい本はその感覚を子供たちに教えようというもので、粗原稿ができたら私も和訳に取り掛かるつもりです。
先生が森林浴に関する大事な本をプレゼントしてくださいました。まだ読んでないのですが、森林浴に関する日本の研究を元にしてあるようです。しかし、森林浴、、、こうして英語にすると「森でお風呂に入る」となり、ある人に「なぜそんなことをするの?」と聞かれたのを思い出します。。。
森林とは言えませんが、バンクーバー市内でも木々はたくさんあります。これはたぶんトネリコだと思うのですが、違うかもしれません。
これは、、、黄緑色の木。光の加減では蛍光色にさえ見えます。
まだ固いリンゴの実。
ブラックベリーの花にハチが来ています。
これはたぶん、クワの実。ぜひとも味見をしたいけれど、勝手に取るわけにはいかないところに生えていたのです。
まだ熟れてないブルーベリー。
これは野ばらの実。ひどく酸っぱいのもあるけど、そうでもないのもありますが、気をつけて食べないと細かいトゲが刺さります。そもそも食べるところはほとんどないので、これはやっぱりローズヒップティーにするのが正解でしょうね。
これは山羊。。。
そして馬。。。いえ、別に乗馬をしに行ったわけではなく、ただ単に馬や山羊を見に行ったのです。ここは子供乗馬クラブで、自然体験のためのミニ農場も作ってあります。
道端に落ちていた鳥の羽根。たぶんコマドリのだと思うけど、違うかもしれません。
橋のたもとにピアノが置かれました。これは夏の間だけこうして登場して、誰でも弾けるようになっています。私も腕前を披露したいところですが、子供の頃に赤いバイエルでつまづいて先に進めなかった暗い過去を思い出すので、やっぱりやめておこうと思います。