月曜日の夜、と言っても緯度の高い国の夏至間近なので7時半でもこんなに明るいのですが、某氏とコンサートに行ってきました。混雑していますね。
壁にどーんと出ているこのおじさんはブラムウェル・トヴィーさんという方で、ここで18年間も指揮者を務めていらっしゃいますが、今日が彼の最後のコンサートなのです。トヴィーさんはときどきお店にコーヒーを買いにいらっしゃるので、「引退なさるのですか?」と聞いてみたら、何の何の、これからロンドンのオーケストラに移るのだそうです。ロンドンにはオーケストラは3つあるそうで、どれだったかな。
これからもときたまゲスト指揮者として一年に一週間くらい戻ってきて指揮をなさるそうなので、全くのお別れではありませんね。
今回、私たちの席はこのあたり。前から11列目です。オーケストラのお客様は多いので、誰かチケットをくれないかな~と期待していたのですが誰もくれなかったので、仕方なく自分たちで買って行ったのです。
客席はほとんど満員ですが、ところどころ空いてたのでちょっとびっくりしました。絶対売り切れると思ったのです。
コンサートの前半はカナダの現代曲で、暗くて怖い感じで私は好きでした。これはちゃんと落ち着いて集中して聞くことができたのです。
休憩の時間にはロビーにブラムウェル・トヴィーさんの肖像画が展示されました。重厚で温かい感じのおじさんで、偉い人なのに私にも丁寧に優しく接してくださる紳士なのです。ところで、実はこの方のお名前を私はずーっと間違っていて、「トビー・ブラムウェル」だと思って「トビーさん」と呼んでたのです。「トビー」さん、ごめんなさ~い、許してね~。
後半は大人数のコーラスとソロの歌手2名も加わって舞台の上が大混雑していました。ところで、私の左隣には一人客のおばさんが座っていて、その向こうにももう一人、一人できたおばさんが座っていたのですが、後半では私のすぐ隣のおばちゃんが席に戻らず、私たちの右側の空いた席に座りました。そこで何かが怪しいと思うべきだったのですが、、、
緩衝壁のなくなった後半は、私の隣の隣に座ったおばちゃんの存在がダイレクトに伝わってきました。この人はどこかで見た覚えのある人だったのですが、どことなくネアンデルタール人を思わせるような、ゴリラに近いような人で、ピーナッツの袋をガサガサと開けて、ピーナッツの匂いを撒き散らしながらずーっとボリボリと食べ、匂いの強い安物のワインをがぶがぶと飲みました。
ゆっくり食べてようやく食べ終わったら、今度は長い髪を指でずーっといじりつづけて私の視界さえも邪魔し、さらにときどきギシギシと音を立ててすわり心地を直し続けるのでした。せっかくのトビーさんの最後のコンサートなのに、こんなふうにするなら家でテレビで見ればいいじゃないか、と思うのです。テレビでやってるのかどうか知りませんが。
私たちの後ろには若い男ばかりの4~5人連れがいて、彼らは演奏中はおとなしくしてましたが、演奏前には汚い言葉を連発して何やら仕事の愚痴らしいことをずーっと喋ってました。バンクーバーのオーケストラは演奏は素晴らしくて一流だと思うのですが、コンサートに来るたびにこうして観客の質の悪さを感じることが多く、良くて二流だな、この街は、とつくづく思います。
なお、今回の後半の曲目はこちら、マーラーの「復活」でした。死んで天国に行った魂がドラマチックに復活するというお話ですが、音が大きくなったり小さくなったりしてびっくりします。死ぬとこういう目に遭うのかと思うと、もうちょっと穏やかに、起伏の少ない死に方はないものだろうかと模索する必要を感じます。