ドゥホボールって?
2015年 08月 23日
ところが、このデューカボルですが、実は日本語だと発音が全然違って、なんと「ドゥホボール」というのだそうです。たしかに、よーく聞けば「ドゥーハボール」というのが近いと思うのですが、うーん、ドゥホボール、、、綴りはДухоборыまたはDoukhoborですから、言われてみればその通りですね。アクセントはドゥのところにあるので次の母音はアに近い音になり、普通の「ハ」よりは多少硬い「カ」と「ハ」の中間のような音になります。最後もそんなに伸ばさないと思います。そうするとやっぱり「ドゥーカボル」が一番近いかな。少なくとも英語の発音だとそうなります。
さて、このドゥーカボルの人たちはカナダではヌーディストみたいな認識で嘲笑されてる節がありますが、それはなんでかというと、彼らは宗教的な理由でロシア政府の言うことに従わなかったためロシアから追い出されてカナダに亡命してきて、カナダ政府の保護のもとで定住を試みたのですが、何かと口を出すお上の言うことをおとなしく聞くような人たちではなかったので、自然主義の表明として全裸で抗議運動をするということを繰り返していたからでした。
ドゥーカボルの人たちって、菜食主義だし徹底した平和主義だし、アーミッシュですかと思うような自然に近い暮らしをしていて、今でもその名残が残っているほどなのですが、そういう平穏な見かけに似合わず頑固だしやることは大胆だし、(数十年前ですが)放火はするわ爆破事件は起こすわで、どうもよく分かりません。ロシア会館も2回爆破されましたが、私たちはドゥーカボルの友達で彼らがバンクーバーで運動などするときは雑魚寝の場所を提供していたし、ということは単にロシア人はテロが好きってことなのかな、、、という結論も短絡的に過ぎるのでしょうけれど。私がかかわり始めた頃には既に活発な活動家たちも高齢化してきていて、すっかり穏やかになった老いたる彼らにいろいろな昔話を聞かせていただいたのです。一度だけ彼らの村に行って歌の祭典に参加したのは懐かしい思い出です。
そういえば、ロシアはシベリアでの強制労働が大好きですがカナダは強制寄宿舎教育が大好きで、原住民の子供たちを大勢これに放り込んで文化の根絶を図ったことがよく知られています。でも、実はこれは原住民だけに行われたのではなく、ドゥーカボルその他の少数民族に対しても行われました。そういうことをするなよ、と思いますが、当時はそうすることが子供たち自身にとっても良いことだと本気で考えていた人たちがいたのでしょうね。リバービュー精神病院の閉鎖の件でも思いましたが、収容したほうがいい人たちは追い出して路頭に迷わせ、収容する必要のない子供たちを親から奪って収容し、、、良かれと思ってとんでもないことをやってしまったわけですが、今行われていることも数十年後には「何を考えてたんだ?」なんてことになるかもしれませんね。
独り言のようなことを書いてますね。私はなぜかこの人たちが好きなのです。ドゥーカボルの人たちも若い世代はすっかり伝統的な様式から離れてしまっている人たちが多いです。今でも昔ながらの姿がほんの一部でも残っているというのは、現代のカナダ社会にあっては奇跡的なことだと思います。そんな彼らのボルシチを私はひっそり作り続けていますが、本当はボルシチは白かったり緑色だったりすることもあるので、次はこてこての白いボルシチを作ろうかなと思っているところです。天国のシェフ、聞こえますか?白いのの作り方は習ってませんから、作るときには知恵を貸してくださいね。