見事な引き際
2013年 10月 23日
森に戻るためのバスにも乗れないかもしれないと心配しましたが、無事にぎりぎり間に合いました。しばらく行くと海が雲海になっていて本当に綺麗でしたが、あいにくカメラの電池が切れてしまいました。残念なことですが、自分がいかにカメラ中毒であるかを再認識したひとときでもありました。夢の中でさえ写真を撮っていることがあるのです。まあ、楽しみに見てくださる方が何人かいらっしゃいますし、ほどほど無害な趣味として続けていこうとは思いますけれど。
ともあれ、森に戻るとバンクーバーの霧が嘘のように晴れ渡っていました。車で1時間ほどの距離ですが、やっぱり気候は違うのだなと思います。そんなこんなで、今日も一日元気に働きました。今は帰ってきて別の仕事に追われているところですが、すべきことをほったらかしてこうして写真日記に逃避しているのでした。。。
そういえば、昨日はお友達のお葬式に行きました。カナダではよくある「偲ぶ会」というタイプのお葬式です。亡くなったのは91歳のおばあさんでしたが、本当に最後までお元気で、数日前に心臓発作で倒れるまでほとんど病院にも行ったことがない方でした。車の運転もしていたし、とてもお洒落で気高い感じの人で、ロシアの婦人らしくいつでもきれいにコーディネイトした服装で、アクセサリーも欠かしませんでした。20年近く知ってますが、きちんとしていないところを見たことがありません。ご主人を早くに亡くしてから最後まで一人暮らしで、美しく整えた家で料理もお菓子作りもしていました。病院に運ばれてからは死期を自覚して娘さんたちに別れを告げ、さらに自分のお葬式について細かく指示をしました。場所は自宅にて、軽食はケータリングを頼んで調達して、というようなことです。
私は大きな赤いバラの花束を持っていきました。普通はあんまりお葬式に持って行くようなものではありませんが、真紅のバラが似合う彼女はきっと喜んでくれると思ったのです。予想通り、今回のお葬式は当人不在の楽しいパーティーとなりました。まあ、数枚の写真と魂で皆と一緒にいらしたこととは思いますが、本当にこれほど素晴らしいお葬式は初めてでした。長い人生を晴れて卒業したこのようなお年寄りの最期は、悲しみというより祝福のときだなということを実感します。娘さんたちも終始笑顔で、お母さんのことを「素晴らしい人生を送って去っていった」と語っていました。こんな見事な幕引きに立ち会うことのできたことは幸せだなと思います。
霧、ほんとにきれいですよね。
スコーミッシュの森も今朝は霧が濃いです。