数字と調べ物の話 2
2013年 08月 26日
濁っているところとの境目がはっきりと分かります。
この辺りはさっきの森の中よりも人通りが多いので、と言っても今日は私だけですが、案内板などがところどころにしつらえてあります。この川にはチャムという種類の鮭とコーホーという種類の鮭が上がってくるそうです。稚魚が4年経って成魚になると戻ってくるのです。この前の背中の出っ張った鮭はチャムのほうだったような。。。
これによりますと、チャムはこの川で生まれて4ヶ月過ごしてから海に向かいます。その間、生存の確率が高まるように、人工的に川の砂利の大きさを揃えたり川の幅や深さを揃えたりしています。一方、コーホーはここで1年~2年過ごすので、もっとバラエティー豊かな環境が必要です。ふーむ、なるほど。。。とっても自然な環境に見えるけど、何かとたくさん手を加えてあるのですね。
一つ学んだところで先に進むと、壊れた橋がありました。「この橋を渡ってはいけません」という黄色いテープが張ってあります。じゃあ真ん中ならいいのかという一休さんのようなことを考えても、これではそれもできません。
しかし、それでもどうしても向こう側に渡りたい人のために、すぐ横に吊橋が作ってあります。
私にはこれを渡る勇気があるか、、、とりあえず今日はありませんでしたが、よーく考えると川はごく浅いので、そのうちこっそりと渡ってみるかもしれません。
木立の中に壁のない建物があります。
中を覗いてみますと、長椅子が並んでいて、、、
なんと、黒板まであります。そうだった、ここは学校だった、と改めて思い出します。この建物に使われた木材は、BC州の電力会社が提供した古い電柱です。アウトドアスクールの敷地内には大きな送電塔がいくつも立っていて、何本もの電線が走っています。こうした送電線の周りには大きな木があってはいけないので、木を切る代わりにたくさんの低い潅木が植えられ、生き物たちの新しい環境ができました。二つある池さえも、政府と電力会社とアウトドアスクールが協力して人工的に作ったものだそうです。
この森に住むいろんな生き物たち。うんうん、熊とサギは見た、見た。鴨も見たけど、ワシとビーバーとカワウソはまだ見てません。ビーバーは早朝でないと見られないらしいから、ビーバーのダムだけでも見つけられたらいいなと思います。
もう少し行くと、こんな橋ができてました。さっきの壊れた吊り橋とどっちがいいかな。
こっちの橋は大丈夫そうです。
そして私が歩くのは天の橋立、いや、狭い川を二本に分ける細い道です。低いので、ほとんど水面すれすれです。
もうちょっとで手が届きそうです。しばらくじっとして座っていたら、ほんとに届くくらい近くまで寄ってきました。
魚たちはここで生まれて、わざわざ遠い海まで行って、4年も何をしていたのでしょう。何を考えていたのかな。水の中にいるってどんな感じでしょう。私はときどき、自分が空気の海の底にいるような気がします。夢の中では当たり前のように浮き上がります。水の中にいる生き物を見ている夢もよく見ます。鮭はなんでわざわざ遠くまで行かなくてはならないのでしょう。大きくなると混雑するから広いところのほうがいいのは分かるけど、それでもわざわざ遠いところを戻ってくるのは大変です。
死に場所を求めて上がってくるところが性と生の場所でもあります。本能に突き動かされているといえばそれまでなのですが、何もわざわざそういう大移動をしなくても一向に平気な生き物は山ほどいます。カラスも毎日毎日、日曜も祝日もなく律儀に出勤しますが、年中そして一日中その辺にいる鳩やカモメはそれを見てどう思っているのでしょう。
精魂込めて上がってくる鮭を容赦なく捕まえるあの罠を反対側から見るとこうなっています。向こう側は別に個体数を数えるためではなく、単に鮭に艱難辛苦を与えて捕まえるための仕組み、、、であるようにしか見えませんが、そういうつもりでもないのかもしれません。
ここにも何やら看板があります。文字が多いので読むのが大変ですが、この川はチェカマス川という川から人工的に引いて作った川で、カナダの漁業海洋省とアウトドアスクールが1981年から協力して鮭の保護のために環境再生を図っているものだそうです。この川は冬になると激しい洪水を起こすことが多く、そうなると鮭の卵や稚魚が流されてしまうので、そうならないように流れの静かな川を作ったのです。この辺りは「パラダイス・バレー」という地域で、ワシがたくさんいます。ワシは渡り鳥なので、冬の間ここで過ごすのだそうです。そして、その間の大切な食糧が鮭です。