幼い恋人たち

さてさて、いったんバンクーバーに戻って着替えなど揃え、すぐにまた森に戻ってきてしまいました。これから一週間ほど滞在して肉体労働に励む予定です。今度はバスで行きました。立派な鉄道の駅の構内に長距離バスのターミナルがあるので、そこから乗っていきます。スクウォミッシュというのは有名なウィスラーへ行く途中にある小さな町で、誰が何しに行くのだろうという感じの町です。私の乗ったウィスラー行きのバスはフィリピン人がぎっしりで、貸切バスかと思うほどでしたが、スクウォミッシュでもやっぱり何人ものフィリピン人が下車していました。中国人と韓国人に続いて世界をじわじわと足元から侵略するのはフィリピン人なのかもしれません。
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バスの切符売り場。ここで買うよりオンラインで買ったほうが5ドルくらい安いですが、2ドル50セントの手数料がかかるのであんまり得した気はしません。
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バス乗り場です。どこでどのバスを待てばいいのか、表示もはっきりしないし係員の姿もないので、よく分かりません。この不安感はカナダ文化を象徴するような感覚だなと思います。
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なんとか無事に到着しましたスクウォミッシュのバスターミナルです。申し訳程度に営業しているみたいで、私のバスが着いてから2分もしないうちに閉まってしまい、サンダル履きに半ズボンといういでたちの係のおじさんに追い出されてしまいました。
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なんでだろうと思ったら、ドアに貼ってあった営業時間案内を見て謎が解けたというか、余計に深まったというか。。。平日はお昼休みが2時間、土日は3時でおしまい、というビジネスなのです。このバス会社の社長はイタリア人なのでしょうか。。。
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迎えに来てくださった方と一緒に山篭りに備えて食糧など買い込み、、、
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森の中の自然学校に舞い戻りました。このスクウォミッシュという町は、スクウォミッシュ族という原住民が住んでいたところです。今でも住んでいるのだと思うし、それにもともとスクウォミッシュの人たちはもっとずっと広い地域全体をスクウォミッシュと呼んでいました。この地図では指差しているところがバンクーバーで、真ん中辺りの赤い部分がだいたい車で2時間くらいです。
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スクウォミッシュ族は独自の文字を持っています。もともとは文字を持たない人たちでしたが、白人たちが文字を使っていることを知ったあるスクウォミッシュ人が、それを借用して独自の表記体系を作りだしたのです。もともと文字の読めない人が作ったものなので、アルファベットは必ずしも英語やフランス語の音と一致せず、数字もアルファベットとして使われているという特徴があります。私は全然読めないのですが、そのうちいつか勉強してみたいものの一つです。
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これから(たぶん)一週間の我が家となる山小屋に行って荷物を降ろしました。今度の山小屋は以前救急クリニックとして使われていたところです。虫に刺された!とか、熊と戦って負けたとか、森の学校ならではのエピソードがたくさん詰まっているのだろうなと思います。ここにもやっぱり二段ベッドがあります。宿泊用ではなく、具合の悪い子供を休ませておくためのベッドです。
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カーテンはないので、なんとか工夫しました。この日は着いてからすぐに皿洗いを始め、気がつくと夜になっていました。汗だくになるし、ぐったりと疲れるのですが、いざ寝ようとしてベッドに横になってみると、日頃あまり使う人もなさそうな締め切った室内にそこはかとなく漂うカビくさい匂いで息ができず、結局夜中に起き出してドアを開けて寝る羽目になりました。開けたドアから熊が入ってきても困るので、念のために椅子を二つ置いてバリケードにしました。ほんとに熊が入ってきたら椅子など役に立たないと思うのですが、音がして目が覚めるだろうし、ないよりはマシかもしれない、と思ったのです。でもやっぱり何となく落ち着かず、結局朝まで落ち着かない夜でした。
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さて、翌日です。広い敷地内の移動には自転車を使います。乗ってみて、なんだかおかしいなと思ったら、ブレーキがついてないのです。困った、どうやって止まるんだろう、と思ったら、なんとペダルを後ろ向きに漕ぐと止まるという仕組みになっていました。こんなのは初めて乗りましたが、すごく乗りにくいです。私はつい意味もなく後ろ向きに漕ぐ癖があるので、いきなりブレーキがかかってしまうのです。慣れる前に転びそうな気がします。
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朝早くから100人近いお客様の食事のお世話をし、スタッフは彼らの食べ残しを食べて朝ごはんにします。それからやっと朝ごはんの片付けが終わったと思ったら直ちにお昼ご飯です。メニューはピザで、肉とチーズとベジタリアンの3種類です。お客様は南米から来た13歳から17歳の若者たちと引率者合計100名弱。どれだけたくさん用意していても足りません。若いということは腹が減るものなのだということを実感します。
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サラダもたくさんあるし、、、
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ドレッシングとトッピングもあります。しかし、腹ペコの若者たちは葉っぱなど目もくれず、肉のピザとチーズのピザばかりを奪い合ったのでした。
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広いダイニングルームに10人掛けのテーブルを10台用意します。セットアップだけでも一仕事だし、もちろん後片付けも大変です。
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ランチの後は、ちょっとした騒動がありました。子供たちが窓辺に張り付いて見ているのは、、、
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そう、熊さんなのです。南米各地から来た彼らにとっては、とてもエキゾチックな体験だったと思います。長らくカナダに住んでいる私でも、都会にいるとまず出会えません。部屋に入って来てもらったら困るけど、ちょっと離れたところから安全に見られるのはすごく嬉しいです。
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賑やかでロマンチックで何事にもいい加減な南米人たちが帰っていって、静かになった水辺に取り残されたカヌーをスタッフが片付けています。まだ若いとはいえ、やはり南米人は子供のときから南米人です。外国の森の中で過ごす夜は彼らの情熱に火をつけずにはいられません。私は見なかったのですが、星空の下で幼い恋人たちがあちこちでべったりとくっついて、いちゃいちゃ、いちゃいちゃ、そしていちゃいちゃと愛を確かめ合っていたそうで、なるほどそれは見たくもない見ものだっただろうな、と思ったことでした。「心から愛しているわ、ホセ」、「愛しいマリア、君はカナダの星空よりも美しい」などと述べ合っていたのでしょうか。

思春期独特のバランスの悪い見た目をした彼らには、愛のささやきなどはっきり言って似合いません。でも、そうやって幼い頃から練習していればこそ、美しい大人になったときにキザでロマンチックな台詞が自然に似合うようになるのでしょう。これはきっと言葉遣いも同じようなものなのだろうと思います。
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Commented at 2013-07-24 00:20 x
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by ammolitering6 | 2013-07-23 13:33 | Comments(1)

写真サイト3個目です。


by ammolitering6