ロンドンに行きました 3日目 7

英国庭園の宝石と呼ばれているという優美なシシングハースト城を後にして、まだまだ先を急ぎます。これは途中の村はずれの住宅地の様子。レンガ作りの小さなおうち、煙突、木の柵、小さな芝生のお庭など、何と申しましょうか、可愛くしてるつもりじゃないだろうにとにかく可愛いのです。実際には、イギリスのこうした住宅地の一戸建てには前庭よりずっと広い裏庭もあります。

途中の風景は相変わらず緩やかな緑の丘が続いて、羊、馬、牛などが放牧されているところもあります。おとぎ話に出てくるような真っ白な馬もいて魔法みたいですが、考えてみれば実際に白い馬というのはいるわけで、どこかでこうやって草を食べていても不思議はないのよね、と思います。それでもやっぱり非現実感があるのです。風景はそんなふうにのどかですが、やっぱり細い道はずーっと車が途切れません。
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Tさんが次の目的地を地図で確認します。Tさんはイギリス人ですがカナダで働いていたこともあり、親戚もいるので85歳の今も毎年クリスマス頃にはカナダにいらっしゃいます。お父様はかのアールグレイを生み出したトワイニングという紅茶の会社で役員として働いていらしたのだそうです。Tさんのご年齢からして、お父様の時代はトワイニングの紅茶が外国にも広まり始めた頃ですね。きっと娘さん同様に尽きぬエネルギーであちこち飛び回って紅茶の推進に努めておられたのでしょう。

Tさんご自身はお若い頃はイギリスの下院で秘書として働いていらしたそうです。すごいなあと思うのですが、地味で質素で、王室御用達超有名企業重役令嬢とか下院秘書とか、そういうレーザー光線のようにまぶしい経歴を全く感じさせません。車も小さな中古車なのです。
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多少迷った末に最後の目的地に到着しました。すぐそばの細い道をびゅんびゅん飛ばすたくさんの車が目も向けずに通り過ぎていく、小さくて地味な国教会の教会です。
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ここもやっぱり戸口がとても低いですね。某氏はぎりぎり大丈夫ですが、もっと背の高い人だったら頭をぶつけそうです。
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鍵は開いていますが中は誰もいなくて、しーんとしています。祭壇のところにはステンドグラスがありますね。ちょっと変わった雰囲気のステンドグラスだなと思ってよく見ると、、、
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そう、じつはこれはかのシャガールの直筆ステンドグラスなのです。20世紀を代表するアーティストの一人で、私にとっては一番好きなアーティストの一人でもあります。もう一人はエルグレコですが、今回の旅ではこれにマリアン・ノースも加わりました。
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この教会は他の窓も全部シャガールが描いていて、こうして全部の窓がシャガールの作品という教会は世界中でここしかありません。また、イギリスにはシャガールがステンドグラスを描いた教会は二つしかなく、ここはその一つでもあるのです。
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触ろうと思えば触れるほどの距離というか、小さい教会なのでどの窓もほんとに目の前まで行けます。
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よく見るとやっぱりどこかの誰かが指先で削ったような跡もあります。この教会は今でも一般の教会として活動していて礼拝も子供会もあるので、子供だったらつい触ってしまうことだってあるでしょう。でも、全体的に本当に良い状態です。
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「寄付金はこの箱に入れてください」と書いて、絵葉書や聖書などを置いてあります。写真を撮って個人使用で楽しむ場合にも寄付金を入れてください、と書いてあります。撮った写真を商業用その他に利用する場合には別途許可が必要になります。
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これはシャガールの挿絵が山ほど入った聖書。イギリスのポンドは高いのですが、ついつい買ってしまいました。正しくは寄付金と引き換えに貰ってきた、ということになりますが。
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これは教会に置いてあった聖地巡礼のパンフレット。イギリスからならイスラエルも日本からよりは近いですね。歴史のあれこれで紛争が絶えないところですが、去年だか行ったV君は「観光地はちゃんと平和で楽しかった、ごはんがおいしかった」と言ってました。
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小さい教会だけどちゃんと小さめのパイプオルガンがあります。ちゃんと支えてあると分かっていても、どうも落っこちそうで怖いですね。なんでこんな重くて大きいものをいつもこんなに上のほうに置くのでしょう。
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中央の祭壇の横にあるこの棚は、実はお墓です。16世紀半ばにこのあたりの「シェリフ」をしていた方のお墓なのです。シェリフと言えば西部劇の保安官、バッジを着けてスカーフをして馬に乗ってピストルを回す人、というイメージがありますが、この場合は地元の偉い人です。名誉職の長官なのです。
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なんと、足元にもお墓があります。踏みつけにしていいものだろうかと思うのですが、床のあっちこっち、ほぼ全体がお墓になっていて、踏まないと歩けないので、それはそれでよろしいというシステムなのでしょう。私はどうしてもこれに慣れないのですが、古い教会はこんなふうになっているところが多いです。

この教会の歴史は古くて、既に7世紀頃には礼拝の場所になっていたことが分かっています。そして現存する教会が「新築」されたのが13世紀か14世紀頃じゃないかな~、というくらいだそうなので、このすりきれたお墓もきっとものすごく古いのでしょうね。
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教会の外に出ました。広い芝生に囲まれていて、一面がお墓になっています。こんな素晴らしいところに連れて来ていただいて、Tさん、本当にありがとうございました。
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そういえば、ここには一般客が使えるトイレはありませんでした。行ってみたいという人はあらかじめ見学ツアーを予約するか、他で用を足しておくかしないといけません。ときどき予告無しに閉まってることもあるそうだし、もちろん礼拝などで使われているときには行けないし、行くならあらかじめ確認しておいたほうがいいと思います。(TudeleyというところにあるAll Saint's Churchです。)

by ammolitering6 | 2017-05-10 08:23 | Comments(0)