続きなど

やめとけばいいのにと思いつつ、なぜか難民のニュースばっかり追いかけています。われながら不思議です。そんなことより自分の目先の問題を考えたほうが良くないかという気持ちもあるのですけれど、今はこれがとても気がかりです。

ドイツに入ってくる難民は、今のところ10人に一人くらいが何かしらの病気で手当てが必要だそうです。これから寒くなって雨も多くなるので、これがもっと2倍3倍と増えるでしょうね。ここ数日で移民の流入が急増しているのには、冬になる前にヨーロッパへ、という焦りが影響しています。

さて、そうやってヨーロッパへ、そしてドイツへ着いたはいいものの、ドイツ国内での問題が生じています。ドイツの中でももともと東ドイツだったところは今でも割と貧しくて、西側のように余裕がありません。難民たちはドイツに入ると難民申請をして、許可されたら当局から行き先を割り当てられます。そこらへんの手続きの詳しいところは分からないのですが、行き先を書いた書類を渡されるのです。ところが、難民の中には行き先が貧しい東ドイツだったらこの書類を破り捨てて、再度申請して西側に行けるようにする不届者が少なくないそうなのです。ただでさえ連日大量になだれこむ難民の対応に手一杯のドイツに余計な手間を取らせ、無駄な税金をかけています。ドイツが築き上げた富にたかるな、という国内の声がありますが、そう言われても仕方のない身勝手な行為だと思います。

なお、ドイツではモンテネグロとコソボとアルバニアの出身者を帰国させる決定をしましたが、先週でしたか、帰国を命じられた8歳くらいの難民の女の子が首相に直訴して、涙ながらに「ドイツにいたい!」とドイツ語で訴えたので、こういうのに弱いドイツ人は簡単に彼女の滞在を許可しました。この場合はうまくいきましたが、彼女のように幼くもなく、可愛くもなく、ドイツ語で上手に訴えることもできない人たちの場合はどうでしょうか。おとなしく帰国するとは絶対に思えないのですが、とっつかまえて強制送還するのでしょうか。ぜったいこれでごたごたするぞ、という気がします。

ドイツにはここ数日は一日1万人くらいが入ってきているそうです。国境で審査をしていてこの数字ですから、オーストリアは「早くしてくれ、一日10万人は入れてくれなきゃ困る」くらいに思っているでしょうね。10万人というのは大げさですが、実際に国境で待機しているのは昨日の時点で1万人ちょっとだそうです。クロアチアでは過去数日で7万人が入国というか、通過手続きをしました。なお、今年の1月から9月だけで地中海を越えて欧州に渡った人数はおよそ50万人で、これにはアフガニスタンなどからの難民は含まれません。トルコやギリシャに留まっている何百万人という人たちもみんなできるだけ早くドイツに行きたいと思っているのでしょうから、あんまり冗談とも言えない数字かもしれません。

ドイツ国内でも圧迫感は日増しに強くなってきているようで、受け入れに肯定的な人たちでも「受け入れてあげたいけど限界がある、はっきり言ってお金がない」と表明しています。記事はこちら。それもそうでしょうね。先日は難民キャンプで食べ物を巡って暴動になりましたが、大混雑したキャンプでの待遇は決して良いとはいえず、期待が大きかっただけに難民たちのストレスや落胆も募っているようです。

なお、ドイツとオーストリアは先日から「難民はEU内で最初に入国した国で難民申請をすること」という規則を復活させたそうです。それを無視したからこんなことになったんでしょうが、と思います。ハンガリーが規則を守ろうとしてたときには皆で非難ごうごうで、今さら「規則を守りましょう、難民は最初に入国した国に帰ってください」などとよく言えたものだと思います。ここまで来た難民がおとなしく帰るわけがないでしょう、おばちゃん。追い返したって、どうせ書類を全部捨てて再入国するに決まっています。

それにしても、なんだかんだ言いながらもこれだけの数の難民を、それも異教徒を、自分が苦しい中からでも助け続けているヨーロッパの人たちはすごいなと思います。政治的にはいろいろややこしくて、アメリカと一緒になってあっちこっち空爆するからいけない、植民地にして搾取しまくったからいけない、という背景も否定できません。でも、現代のヨーロッパに生きている普通の庶民は空爆もしないし、植民地も持ってません。地味に生きているキリスト教徒たちなのです。教会には葬式と結婚式のときに行くだけ、という人も多いと思いますが、困難に直面するとキリスト教の教えを義務と感じてできるだけのことをするという感じがするのです。冬が近づいてきたことによる問題を述べたこの記事では、クロアチア政府がキャンプに暖房設備を設置すること、(北より暖かい)バルカン半島の南部ルートを難民のために整えることなどが書かれていて、その中で「最後のパンくずまで分けるつもりだ」と言った誰かの言葉が紹介されていました。キリスト教の強さを体現するような言葉だなと思います。

与え続けるばかりが強さではないし、実際には最後のパンくずを分けて共倒れしてもいけません。シリア本土ではこれからロシアも入って大きく事態が転回すると思いますが、現に難民がこれだけ入っているヨーロッパはこれから寒くなってますます課題が大きくなります。ニュースで見る限り、難民たちには受け入れる人たちの苦労や覚悟や信仰的な信念が全く伝わっていないように見えるのですが、できるだけ早くそれに気づいて感謝と、そして多少余裕が出てきたら反省の気持ちも持って、ヨーロッパの人たちに伝えてくれたらいいなと思います。
名前
URL
削除用パスワード
by ammolitering6 | 2015-09-30 14:29 | Comments(0)

写真サイト3個目です。


by ammolitering6