真夏の夜のコンサート
2015年 07月 20日
私たちの本日の目的地はこちら、カジノの中で開かれている25ドル也の有料コンサートです。入り口では30歳以下に見える人たちに身分証の提示を求める門番さんが待ち構えていますが、私たちは文字通りの顔パスで通してもらえます。
コンサートは長いので前座の人が終わるころを見計らって行きました。でも、ほんとは前座の歌手の方もすごくいいのです。とても綺麗な黒人のお姉さんです。ライリーさんは例によってよろよろと登場なさいましたが、一旦ステージ上の定位置に着くと突然パワフルな声で歌い始めました。見上げるような長身で、身長6フィート7インチ、体重は230ポンド。これを毎回自分で何度も宣伝なさるので覚えてしまいました。体格の良いことがご自慢なのでしょう。
どことなく、クジラが吠えている、という感じがします。ほぼ毎回同じような曲を歌い、同じような冗談を飛ばしますが、こういうコンサートはそういう「いつも同じ」という安心感がいいのかもしれません。そもそも、会場に集まるのはモータウンが青春だった団塊の世代の人々です。思い出をそのままに楽しみたいと思って関節の痛む脚を運んでいるのでしょうから、変わらないことに意味があるのだと思います。
私たちの前の席には夫婦連れが二組座っていました。奥さんどうしがお友達で、白いシャツの方は私のお店の常連さんです。彼女は友達に誘われて初めて来たそうですが、楽しそうにたくさん踊って、絶対また来る!と言ってお帰りになりました。でも、今度来るときは女友達だけたくさん誘って来るわ、男と来たってつまらない、とのことです。たしかに、二組とも奥さんたちが元気に踊るのを尻目にご主人たちはじーっと座ったままだったのです。仲良く手を取り合って踊ってるご夫婦もいるのですが、やっぱり踊っているのは断然女性が多いです。
踊る人が増えてきました。ライリーさんは歌いながらいつものように女性たちに赤いバラを捧げます。ゆかさんももらえてよかったですね。それにしても、この人はこの場所に立つために生まれてきたような人だなと思います。これが私だったらまずお話にならないし、後ろで演奏しているバンドの人たちだって、その位置が心地よいのでしょう。そしたら、、、と私は考えます。それぞれの人にとって、一番心地よい、一番輝くような場所って、どんな感じでしょうか。これはコラージュなのです。ある要素と別の要素が組み合わさると、突然光るような感じがすることがあります。本当に呆れるほどに、ライリーさんにはハーレムが似合います。先日は「君が来てくれないとコンサートはできない、ヨウコが来られないなら日にちを変更しなくてはならない」と言って口説いてくださいましたが、それを何百人の女性にささやいているのか、一度数えてみたいものです。
結局最後までいてしまいました。諸経費を考えればたった25ドルでは利益もほとんど出ないだろうし、申し訳ないくらいのすばらしいコンサートでした。ゆかさんとも後で経費の話で盛り上がってしまいましたが、コンサートそのものも満喫していただけたようで嬉しかったです。たくさん踊って楽しかったですね。
歌手とバンドの人たち。日本人らしき人もいます。
11時までの予定が11時半まで延びてしまいました。ここで撮ったゆかさんの写真は都会の夜景とセクシーな美女の組み合わせでものすごくかっこいいものになるはずでしたが、最近疲れの目立つ私のカメラにかかるとまるで心霊写真のようなものになってしまいました。それを見て二人で悲鳴を上げ、ゆかさんが最近読んだという全国心霊スポットめぐりの話になり、化け猫の話になり、鍋島家にちなんだある恐ろしい人物の話になり、逃げるように帰ってきたのでした。これに懲りず、また踊りに行きましょうね、ゆかさん。
そんな風に思うのは、ライリーさんマジックにかかっちゃったのかな?
お誘いいただいておかげさまで楽しい夜でした!
葉子ちゃんのしなやかなダンス、とても虚弱体質を思えさせませんでした。やはりそれもライリーさんマジックなのだろうか。おそるべし。
実は、コンサートの翌日にお店に来てくださったのですよ。コーヒーを買いに来たのではなくて、わざわざ「昨日はありがとう」といいに来てくださったのです。まあ、私だけのために来たわけではなく、ご近所さんが多いのであちこちお礼回りをなさっていたようです。こういうマメさというか義理がたさというか、営業熱心なところが成功を支えているのだと思います。でも、さすがにあれだけがんばった翌日なので、多少抜け殻っぽい感じでした。寝てればいいのに、と思いました。
虚弱でひょろひょろした私のダンスを褒めてくださってありがとうございます。でも、ひょろひょろ、ふらふらではなく、しなやかと思えば人生が明るく思えます。ゆかさんもリズミカルであでやかな動きでしたね。着飾ってらしたのも雰囲気を出していて良かったです。お洒落して出かけるのも時には楽しいものですね。また行きましょう!